「十字架」　　　０２．０３．２４　　　　ヨハネ１９：１７〜３０

　ぼろぼろに痛めつけられた主イエスが、十字架を背負いながらゴルゴダの
丘へ進んで行かれます。ピラトは、こんなに弱々しい男に、何かが出来るとは
思えませんでした。
しかし、主イエスは、大きな出来事を成し遂げるために歩んで行かれたのです。

　血のにじんだ服を着、十字架を担ぎ、時にふらつき、周りからあざけりの言葉を
浴びせられながらゴルゴダの丘に向かって歩まれる主イエス。
目を背けたくなるような、悲劇的な、残酷な出来事です。
　ところが、そのことを記す聖書は、「預言されていたことが実現した」と繰り返し
語ります。この主のお姿は、主を拒むユダヤ人の勝利によるのではなく、ローマの
権力者の力によるのでもなく、神さまのご計画が実現していることによるのです。
　そして、主イエスご自身も、十字架の上で「成しとげられた。完成した。」と言って
息を引き取られました。

　主イエスの痛々しい十字架の死によって成しとげられた神さまのご計画。
それは一体何でしょう。神の独り子にこんな仕打ちをする人間を裁き、滅ぼして
しまうことでしょうか。そうではありません。反対に、そんな人間の罪と汚れを
取り除くためのご計画でした。
　神はそのために、主イエスを人間の罪を清める犠牲として十字架に掛ける
ことを決断されたのです。それは私たちを愛してくださっているからです。
　そして、主イエスは、犠牲としての十字架の上でおっしゃいました。
「あー良かった。これであなたの罪は清められた。これで、あなたは永遠に神の
愛のうちに置かれるようになった。あなたに永遠の命を与えることを、わたしは
成しとげた。神の愛は完成した」と。

　主が頭をたれて息を引き取られたのを、主がうなずいてくださったと見る
見方があります。「わたしの罪は清められたんですね。神は愛してくださって
いるんですね。こんな私でも、それを信じていいのですね」との私たちの問いに、
主は十字架の上でうなずいてくださっています。「その通りだよ」と。